2012/08/06

創作のための非ノウハウ本 7冊

創作活動のための、非ノウハウ本を紹介します。

これらを読んでも、さしあたって何のノウハウも得られませんが、
自分でノウハウを考えたり、何を作ろうかと考えるための手助けになるかもしれません。
即効性はないですが、じわじわくるものを集めました。

以下、7冊紹介です。





■ デザインについて

1. デザインの輪郭 / 深澤直人

まずはじめに、
「いいデザインをするための方法論や、創造性を得るためのノウハウなんてない」
ということを知るための本です。
もしデザインの方法があったとしても、それは直接的には表現できず、
輪郭線のように間接的に/経験的に表出するほかないようです。

これを踏まえ、いいデザインってなんだろう、直感的な気持ちよさってなんだろう
あたりまえの価値ってなんだろう、ということを自分の力で紐解く必要があります。
著者の繊細な感性と、優れたデザインの実例が、その良いヒントを与えてくれます。
迷ったときにページをめくる一冊です。


2. デザインの生態学 / 後藤武、佐々木正人、深澤直人

「アフォーダンス」について知るための本です。
私たちが普段、無意識的に行なっている認知のプロセスについて考えます。

ゲームで言うと、
・ 一箇所だけひび割れた壁 (→ここ爆弾で壊したいなあ
・ 3メートルくらい隙間の開いた崖 (→ダッシュジャンプで飛び越えよう
といったように、私たちは無意識の内に世界の意味を読みとっています。
むしろ、半自動的に読み取らされている、とも言えます。

「世界の認知と人間の行為」について考えるきっかけとして。
見えていなかったものを見えるようにする、オススメの一冊です。



■ アイデアについて

3. 着想の技術 / 筒井康隆

「いいアイデアを出すための方法論なんてない」 ということを知るための本です。 
その上で、コントロール不能な「ひらめき」のしくみについて考えます。

ひらめきを生むには、己を知ることが大切です。
例えば、面白そうなネタ = 断片(フラグメント)を思いついたときに
・どうすれば作品になるかな?
とだけ考えるのではなく、
・なぜ自分はこのアイデアを思いついたんだろう?
・なぜ自分はあのアイデアではなくこのアイデアを面白いと思うんだろう?
という、自分の無意識的な思考/嗜好/志向について知ることが大切です。

無意識的なひらめきと上手く付き合うためのヒントが書かれた一冊です。



■ 物語について

4. 物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室 / G. ガルシア=マルケス

あるアイデアを、皆で議論して1つのシナリオに仕立て上げる、ワークショップの議事録です。
物語の作り方ではなく、「物語の作られ方」が記録されています。

答えのない物語を、どっちに転ばせるか議論する場面には、痛快な面白さがあります。
その過程では、ストーリーの都合で主人公が旅に出てみたり、バーに入ってみたり、
女性と出会ってみたり、皆に疎まれてみたり、死んでみたりします。
答えを探す中で、主人公は多くのマルチエンディングを経験します。

そして、あるところでアイデアがゴールに辿り着きます。
同時に、主人公の沢山の遍歴も収束し、一つに定まります
トゥルーエンドに至ったわけですね。

物語が結実する瞬間の感動、創作プロセスの疑似体験が出来る一冊です。


5. クリエイティヴ脚本術―神話学・心理学的アプローチによる物語創作のメソッド / ジェームス・ボネット

脚本術とありますが、物語の作り方に関しては高度で参考にならないかもしれません。
しかし、無意識の産物である「物語の作られ方」を知るには最良の本です。

神話/昔話/エンタメ小説にみられる類型シナリオ
(主人公の旅立ち、老賢者との出会い、脱出、結婚、奇跡、没落など)
について鮮やかな切り口で解説した、物語学の入門書です。

著者の語り口が情熱的で、カッコいい必殺技(メソッド)が幾つも登場します。
・ゴールデンパラダイム ・ストーリーホイール ・シュガーコート

僕はこれを読んで、「なるほど村上春樹が面白い理由はこれだったのか」と
本文と関係ない結論にまで思い至りました。非常に汎用的な物語論です。

作品分析が好きな方、この本読んだら感動すると思います。



■ 遊びについて

6. 遊びとジョークの本 / 松田道弘

「遊びとは、驚きの創造だ」ということを知るための本です。

本書は、ジョーク・TVゲーム・マジック・盤上遊戯・クイズ・パズル・詭弁・ミステリ・カードなど、
あらゆるジャンルをまたいで「遊び」とは何かを論じる、鮮やかな切り口の本です。
共通するのは、騙し騙される楽しさや、気付きの嬉しさ、不意打ちの気持ちよさ

普段、狭く狭くゲームデザインに考えてしまいがちな自分にとっては、
視野が広がるような心地がします。遊びの世界は広い。

特筆すべきは、文章が軽妙で、楽しく読めること。
遊びを論じた本は数あれど、本書のように「遊び心」を持って文章を綴ったものはそうありません。
絶版本なのが惜しまれますが、良い本です。



■ 子どもについて

7. 子どもの宇宙 / 河合隼雄

趣向の違う本を一つ。

子どもの持つ知性や空想力について論じた本です。
僕は、子供の頃が一番想像力やひらめきに溢れていたように思います。
空も飛べたし、別世界にも行けたし、ヒーローにもなれたし、世界の鍵も握っていた。
でもいつしかそんな知性を、知識に置き換えてしまった。 

子どもは、物事をありのままに見ることができます。
「昼間でも月がみえてる。なんでだろうなー」とか、僕は思わなくなってしまいました。

著者は子どもの持っている限りない知性を、心理療法士の観点から論じています。
また児童文学の解釈を通じ、子どもの深遠な空想世界について考えていきます。
子どもの頃の気持ちを取り戻したいな、という希望も込めた一冊です。

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