2014/01/11

まじめな人のための作曲理論

今年もよろしくお願いします。

以前作った曲を再掲。勉強中。

作曲理論についてぼんやりと考えてみます。




■1. 作曲理論について

作曲理論は、文法みたいなものかと思います。

僕らは普段、日本語に慣れ親しんでいます。
そのため、日本語の文法を気にせずに、自然と日本語をしゃべることができます。
同じように、音楽に慣れ親しんでいる人であれば、
作曲理論のことを考えなくても、自然と作曲は出来ます。
理論は無くても良い。

一方で、英語のような、普段使わない外国語 を喋りたい場合もありますね。
どこかで聴いた英文フレーズを元に、英単語を適当に並べて、片言で喋ることもできますが、
相手に正しく伝わらないケースが出てきてしまいます。

もし、相手に確実に伝えたいのであれば、
始めのうちは、英文法の学習をするのが良さそうです。
文法を意識して、かっちりと正しい英文を書く/話す訓練をする。
そうすると、初学者でも相手に正確に意図が伝わります。

音楽についても、英語と同じことがいえます。
僕らは、音楽好きとはいえ、基本的に音楽のネイティブではありません。
音符を並べれば作曲はできますが、
相手に正しく伝わる音楽を書くには、多くの経験が必要です。

そこで、はじめのうちは音楽の文法=作曲理論にしたがってかっちりと曲を作ると、
安易だけど相手に伝わる表現、がつくれます。
作曲理論は、先人たちが考えた「こういうのいいよね」を纏めたものなので、
だれにでも、「だいたいあってる」音楽が書けます。

はじめは、シンプルでオリジナリティに欠ける音楽しか書けませんが、
そうして作曲理論の運用を続けていくと、
意識せずとも、だいたいあってる音楽が書けるようになってきます。
これがアリならこれもアリだよね、という、拡張性も身についてくる。

作曲理論に慣れてくれば、
いつかは作曲理論を考えずに作曲できるようになります。
ネイティブっぽく、表現したいことだけを考えて作曲できるようになります。

作曲理論は、いつか手放すために学ぶのだ、ということですね。


***


■2. 聴き専のための作曲理論について

音楽を聴くために、作曲理論は必要でしょうか。
不要です。

食事にたとえてみると、
料理を味わうために、その料理のレシピが分かる必要があるか、ということです。
たとえレシピを知らなくても、美味しい料理は美味しいですね。
なので基本的にはレシピは要りません。

一方、想像を超えるほど美味しい料理に出会ったとき、
なんでこんなに美味しいのかな? と考える事があります。
そんな方にとって、レシピは重要な示唆を与えてくれます。

自分が美味しいと思う料理が10個あったとします。
一見、なんの共通点もなさそうなのですが、
レシピに関する知見があると、
実は、○○という調味料が共通して使われていた! と気づくことができます。

同じように、作曲理論を知っていると、
自分が素晴らしいと感じる音楽に触れたとき、
自分が何に感動したのか、その理由が(ちょっぴり)わかるようになります。
それはコードワークだったり、メロディーの運び方だったり、
作曲の様々な面で現れてきます。

作曲理論がわかると、自分の趣味嗜好がわかる、ということです。


***


■3. 作曲理論の学び方について

作曲理論は、
・だいたいあってる音楽を書くための文法
・自分の趣味を知るための手段
というのがわかりました。

万能の武器とか、そういうものではないのです。

では、音楽理論はどうやって学ぶのが効率が良いのでしょうか。
学習方法は数え切れないくらいあります。

最も良い学習方法は、
いっぱい曲を聴いて、いっぱい曲を作る、ということです。
そりゃそうですね。

そんな実直な学習のために、
一個だけPCアプリを紹介してみます。



 ▲「作曲法」(フリーソフト)
 http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/art/se048457.html


このソフトで作曲のイロハを覚えました。
公開日は古いですが、とても気にいっています。
「いっぱい曲を聞いて、いっぱい曲を作る」が実践できます。

このソフトは、各単元が軽いストーリー仕立てになっており
作曲に造詣の深い「師匠」と、
作曲を習得したい「弟子」との対話を通じて、
作曲作法を学べる形式になっています。

なんとなく読み進めながら、例に沿って自分で作曲してみることで、
自然と音楽のシステムを学ぶことができます。

良い所は3つです。

1. 音が鳴る
 音楽を学ぶためには、音楽を聴いて覚えることが最も大事。
 音を聴きつつ譜面を見られるため、知識が定着しやすい。

2. コードとメロディーを同時進行で覚えられる
 コードに対し、メロディーをどうのせるか、という根本が学べる。
 全てのコード・メロディーに対してその意図が書いてあるので圧巻。
 通常の入門書は、メロディー理論はあまり載っていないので貴重です。

3. 良くない例が豊富
  良い例、良くない例が比較で出てくる。
  何度も聴き比べると、「あんまりよくない」が分かるようになる。

きっちり勉強したい方にとってはうってつけのソフトです。
非常にかっちりした理論に基づいていて、パズルっぽい感じ。
おすすめ。

もちろん、作曲法の全てを鵜呑みにして、これに従わなければ、
と考える必要は全くありません。

自分が、何が好きなのかを知るために。
最終的には理論を忘れるために、簡単な文法から学習しましょう。


2 件のコメント:

  1. 池上彰のような、誰が聞いても非常にわかりやすい説明です。
    読んでていてとてもおもしろいです。
    とても音楽が好きなんだなと伝わってきます。
    私は真部脩一のファンなので余計そう思うのかもしれませんが、言葉の選び方と話の構成が上手ですね。
    コメントを書かずに読むだけにしておけばいいのですが、つい書かせていただきました。
    すみません。

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  2. こんにちは。読んでいただいてありがとうございます。
    自分の文章を客観視できないので、コメントいただけるととても嬉しく思います。
    真部脩一さんいいですね。音楽もそうですが、彼の作詞は大好きです。

    以前に、『フリースタイル18』に掲載された彼のコラム(美しい車には爆破が似合う)を読んだのですが、思ったとおり素晴らしい筆致でした。端的に面白い。
    なんだか将来文筆業で大成しそうな気がしました。町田康さんとか大槻ケンヂさんみたいに。

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