2014/09/10

北園みなみさんとオリヴィエ・メシアン

9/9に放送された新川忠さん・Lampのネットラジオ「灯放送」に、
北園みなみさんがゲストで出られていました。

最近はどんな曲を聴きますか?という問いに対して、北園さんが

「ももちとメシアン」

と答えたところが、とてもグッときました。 さらにファンになりました。
10/22のアルバム発売が楽しみです。

ということで、
せっかくなのでメシアンを聴いてみましょう。





◆オリヴィエ・メシアン

メシアンはフランスの現代音楽家です。
メシアンを簡単に紹介すると、

①独自の作曲法(MTL)を実践した。
②鳥の鳴き声が大好き。
③曲のタイトルがかっこいい。

メシアンの曲調は、調性音楽と無調性音楽のはざまをたゆたう感じです。
くくりとしては現代音楽ですが、古典好きでもギリギリ聴けるくらい
求心的な音楽を作った方です。

ただしいきなりメシアンを聴くと死ぬ可能性があるので、
以前に下記で紹介したようなところから聴き始めるとしっくりくると思います。

    ・ポップで素敵な作曲家カタログ(クラシック編)
     http://kaho-ss.blogspot.jp/2014/03/blog-post_27.html

    ・フランスの緩徐楽章に惹かれて
     http://kaho-ss.blogspot.jp/2012/07/blog-post.html



北園さんがメシアンを取り上げたのは、それほど深い意図あってのことじゃなく、
いま気に入っていて、純粋に良い音楽なので、ということだろうと思います。

僕にとっては、メシアンは良い「気がする」作曲家のひとりです。
やっぱり難しいので、具体的にどこが良いか自分でもわからないのです。
いつか好きといえるといいなと思います。

メシアンには孤高のイメージがあって、特別扱いされやすいですが、
北園さんにとっては、ももちと並ぶくらいに親近感を覚える人、
という印象があるのかもしれません。

(あるいは、ももちがメシアンレベルに孤高、という可能性があります)





メシアンの曲のうち、楽しげなものを選んでみます。

■「世の終わりのための四重奏曲」  より
  ◆ VII.  世の終わりを告げる天使のための虹の混乱
北園さんが紹介された曲からの抜粋です。
全部で第八楽章まであり、そのうちの7番目。
きれいな旋律と激しいリズムが交互に現れます。

0:00-  不安定で美しいチェロのメロディーをピアノが支えます。
ぞっとするほどきれい。
ピアノが階段を登り降りするように和音を刻んでいます。

1:54- 激しいリズムとともに調性がくずれますが、
無秩序さはありません。ここがメシアンのおもしろいところ。
高音から低音に向けてピアノの和音が規則的にたったったったと下がる感じが好き。


  ◆ III. 鳥たちの深淵
同曲より。
第三楽章は、クラリネットのソロです。
ロングトーン&クレッシェンド が特に有名なので、ぜひ聴いてみましょう。

2:45- すごすぎるロングトーンです。人は一つの音だけでも感動させられるんですね。
ぞっとします。

際限なく大きくなる音量は、聴いててドキドキが止まりません。
ロングトーン後、「鳥の鳴き声」が入ります。
たしかに鳥っぽい。

メシアンは数多くの鳥の鳴き声を採譜して、ピアノ曲にしたり、
こうやって自曲の中に取り入れたりしました。
彼にとって、鳥は尊敬すべきミュージシャンなんですね。


■5つのルシャン より III, IV, V
メシアンの合唱曲です。
きれいで愉快な音楽。ノリノリで書いてる感じがします。

III  0:00-
聴いたことないような、この世のものではないような美しい和音からはじまり、
0:54-くらいから歌ってる人のテンションが少しずつ危ない感じになります。
「ソレソレソレソレー♪」な悪ふざけが好き。

IV   3:54-
不思議な旋律の男女ユニゾンから始まります。
5:18からの興奮した男性の「おほほほっほぉー」というコーラスが超きもちわるい。

V   6:34-
 「マッヨッマッ・カリモッリッモ」という耳にこびりつくコーラス。
言いたいやつです。マッヨッマッ。
6:58-「トゥクトゥクトゥク…トゥク…」謎のボイスパーカッション。


■幼子イエスに注ぐ20の眼差し より 6.御言葉によってすべては成されたり
激しメシアン。
かっこよすぎて泣きそうなピアノ曲です。
20曲構成のうちの1曲です。全曲ともタイトルがカッコイイ

これ以上いくと無調音楽になってしまう紙一重のところで踏みとどまっています。
2:00- にあるような、メシアンの和音が上下するところ、
なんでこんなに気持ちいい音なんでしょうか。いつか構造が知りたいです。


■「鳥のカタログ」より  3. イソヒヨドリ

北園さんが触れていた、鳥のカタログより抜粋です。
実際の鳥の鳴き声を採譜して、楽曲に取り入れています。

メシアンにとって、鳥の声はこんな風に聞こえていたんですね。

メシアンの鳥好きは尋常でないところがあり、
なんと鳥の鳴き声だけで、三枚組アルバム (3時間半) が作れるくらいあります。
壮大すぎる。
僕は一回も聴き通した事がないのですが……まずは作業中BGMとして流しっぱなしにして
時おり耳を傾けるように聴いてみるのが良さそうです。

メシアンがつくる曲の至る所に、この鳴き声が登場します。
メシアン通になると、どの曲を聴いても、
お、このフレーズは○○の鳴き声だな、とピンとくるそうですよ。





いろいろ曲を見てみましたが、
僕にとってメシアンは、下記の本を書いた人、というイメージです。

メシアンによるラヴェル楽曲分析

ラヴェルの有名な楽曲を取り上げて、ラヴェルの作曲作法を解説した本です。
僕は作曲家のなかでラヴェルが一番好きなので、
この本を見つけた時はとても嬉しかったです。

冒頭から、
「ラヴェルのメロディーは4度と2度の組み合わせ」 という鋭い分析がなされていて
感動しました。目からウロコがぽろぽろ。
暇な人はどうぞ。


0 件のコメント:

コメントを投稿